応用問題(Practical Exercises)8  解答 【症例 P8-1】

空腸壁内血腫.Intramural hematoma of jejunum












下段の造影CT図18〜図20で腹水(※)を認め,図24〜図26の▲は腸間膜の濃度上昇を示している.図24で十二指腸(Du)から空腸への移行部1から壁肥厚した上部空腸を追跡すると,図22の31でbeak sign(↑)を示し閉塞するように見えるので,図24の1とそこでclosed loopを形成した絞扼性小腸閉塞かと思ってしまう.しかし,液状内容物を認めず,著明な壁肥厚だけであり,上段の単純CTで高濃度の壁肥厚と,ワーファリンを服用していること,右上腕の皮下出血から,絞扼性小腸閉塞ではなく壁内血腫と診断すべきであろう.PTとPTTが延長していることが判明し壁内血腫を裏付ける.絞扼性小腸閉塞と診断され手術となった.血性腹水があり,Treitz靱帯から40cmの空腸(図A:↑)が赤黒く壁肥厚を示していたが,索状物やヘルニアによる絞扼所見は認めなかった.さらに肛門側にshort segmentの2カ所の壁内血腫を認め(図A:△,CTでは図28と図29の白矢印がその一つ),ワーファリン副作用による壁内血腫であることが決定的となった.切除せず術後は順調に経過した.

















  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ20 【症例 RE 100】

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