応用問題(Practical Exercises)7  解答 【症例 P7-5】

壊死性胆嚢炎.Gangrenous cholecystitis








急性胆嚢炎のCT診断(症例P7-2から再掲):胆嚢の腫大は短軸5cm以上,長軸8cm以上,壁肥厚は4mm以上.major criteria:壁肥厚,胆嚢周囲液貯留または脂肪組織濃度上昇,漿膜下浮腫,壁内ガス,剥離し胆嚢内に浮遊している粘膜像.minor criteria:腫大,高濃度の胆汁(sludge:胆泥).major criteriaが2つ,または2つのminor criteriaと1つのmajor criteriaがあれば急性胆嚢炎と診断する.












胆嚢(GB)以外に腹痛の原因はなさそうだが急性胆嚢炎か? 図1〜図17まで胆嚢(GB)が描出されているので長軸で8.5cm(5mmスライス)だが,図11では短軸で4cmだから腫大とはいえない(△は胆石).エコー検査では95×38mm.図17と図18の周囲脂肪組織の軽度上昇(▲)が唯一の上記major criteriaであり,急性胆嚢炎の診断基準を満たさない.最近言われるようになったことだが,図2〜図7の造影動脈相で肝床部の造影効果(↑:下段の静脈相で消失する)は急性胆嚢炎の所見であり,さらに 図5〜図8で胆嚢に接する十二指腸が粘膜下浮腫による壁肥厚(白矢印)を示しており急性胆嚢炎を裏付けている.胆嚢壁の造影効果を認めず,壊死性胆嚢炎を疑えば正解.手術と病理検査で壊死性胆嚢炎と診断された.












  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ8 【症例 ER 38】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 応用問題一覧に戻る 】