↑の小腸群は一部を除いて壁の造影効果を認めず,上段の図9と下段の図11〜図15の▲は壁内気腫を示しており(図5〜図7の△もニボーを形成しないので壁内気腫の可能性が高い),壊死に陥った小腸である.図6の白矢印は一見壁の造影効果に見えるが,進行性の壊死腸管に接する腹膜と後腹膜筋膜の肥厚充血を示しているのである(下記参照症例).図16の丸数字1から口側単純性閉塞の小腸が拡張し始めるので,そこが絞扼部位であろう.造影効果を呈しないから追跡は不可能でclosed loopを証明できないが,グループとして図1と図16で盲端になるからclosed loopと解釈でき,また壊死所見は明白である.上行結腸(Ac)と盲腸(Ce)の外側に位置し,円形にまとまっていることから盲腸周囲ヘルニアを疑うが,手術では虫垂切除後の癒着部の背側に,図Aのごとく 30cm長の回腸(↑)が入り込み絞扼されて壊死に陥っていた(図B).Ti:回腸末端.虫垂切除後60年目に発症した絞扼性小腸閉塞である.
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