腹壁直下には遊離ガスを認めないが,図1〜図6の△は遊離ガスである.図7から胃角部小弯側に粘膜下浮腫による壁肥厚(▲)を認め,図13〜図17では大弯側以外の前壁と後壁に及ぶ急性胃病変である.AGML(Acute Gastric Mucosal Lesion:急性胃粘膜病変)なら前庭部の全周性粘膜下浮腫を呈する場合が多い.図10〜図13の↑は両側に粘膜下浮腫(▲)を伴うので,胃角部から後壁に広がる急性胃潰瘍である.図14と図15の白矢印は十二指腸潰瘍と診断したいが,図13〜図16で胃前壁が広範囲の粘膜下浮腫を示していることを考慮すると,Duが十二指腸で,図14の1〜図17の4は胃前庭部のようだ.正確に診断され保存的治療で症状が消失した.9日後の内視鏡検査(図A)で胃角部に前壁寄り(Gu1)と後壁寄り(Gu2)の急性潰瘍を認めた.腹壁直下には遊離ガスを認めないことから後壁潰瘍の穿孔であったと思われる.
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