図16〜図18で回腸末端(Ti)が虚脱しているので,拡張した小腸は機械的閉塞であろうが,図18〜図20の盲腸(Ce)は少量の液状内容物を示している.小腸から盲腸には24時間で500ml程の水分が流入するといわれるので,少量の液状内容物は正常範囲である.拡張した小腸は一部(図18の76〜図16の80)を除いてgaslessで,腹水(下段の図16〜図18と最下段の図25〜図27の△)と腸間膜濃度上昇(上段の図9〜図13の▲)は絞扼性であることを示唆するので拡張した小腸を追跡すべきである.図17のAから尾側へ追跡すると,最下段の図25のPまたは図26のQあたりで閉塞する.他方の図16の1から頭側への追跡では,数字順に展開し,図4の106となり上行する.全ての拡張した小腸に印がついたので図25のPまたは図26のQあたりでの単純性閉塞との診断が確定した.図24〜図26の“小腸内糞便(small bowel feces;↑)”は,このように単純性閉塞の閉塞部位を示している場合が多い.正確に診断されNGチューブ挿入で保存的に治療された.2日後に排ガスがあり腹痛が消失した.
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