心房細動がある患者が腹痛で来院したらまず上腸間膜動脈(SMA)塞栓症を考慮すべきである.SMAは図2から始まるが,図7から末梢が造影されていない(↑).次に腸管の虚血状態を検索してみると,下腸間膜動脈の支配を受ける下行結腸(DC)は普通に造影されている.横行結腸は図6のT1〜図13のT8あたりまでは良好に造影されているが図14のT9から右側は造影効果が減弱している.小腸は 図9〜図15の△の空腸(腹部を右上から左下への斜線を境に空腸は上腹部と左側に回腸は下腹部と右側に位置する傾向にある)の一部は造影されているがその他の小腸壁は造影効果が低下している.従って上腸間膜動脈塞栓症で,上部空腸から横行結腸中央部までの虚血状態と診断する.図Aは上腸間膜動脈の血管造影で▲で閉塞し塞栓症が確認された.カテーテルを留置し2日間ヘパリンとウロキナーゼを注入したが腹部所見が増悪し手術となった.図Aの白矢印の血管は攣縮(spasm)を起こしていると解釈すべき(Expert Course GE7の血管造影を参照)で,塩酸パパベリンを持続注入しておれば手術を免れた可能性が高い(下記症例参照).血栓除去し約100cmの回腸を切除した.PV:門脈,SMV:上腸間膜静脈.
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