図5と図6でIVCと腎髄質が造影されていないので,動脈相の造影CTで門脈とSMVもまだ造影されていない.1)図6から図9の↑はSMA分枝のwhirl signを示しおり,SMA中枢側での捻転を強く示唆する.しかし,下段の図10〜図15で腸管の拡張はなく満足な造影効果を示しており壊死所見を認めないので軽度の捻転であろう.2)図9のA 〜図7のE〜図12のJはSMAの背側を走行するが,おそらく小腸,3)十二指腸は図4の1〜図3の6と思われ,その先は不明であるが,SMAの背側を左方に走行する所見がない.以上の所見から腸回転異常(malrotation)と壊死のない中腸茎捻転(midgut volvulus)と診断する.図Aは上部消化管造影でA〜Dが十二指腸で回転異常(左方のTreitz靱帯へ展開しない)を,図Bの注腸造影でも結腸の回転異常を示し,1〜5が横行結腸,6〜8が下行結腸である.手術で後腹膜に全く固定されず腹腔内で遊走する横行結腸,上行結腸と盲腸(図C)を認めた.中腸捻転は180度に止まり虚血所見はなかった.
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