下段の図22〜図24で右側結腸(白矢印)は虚脱している,拡張した大部分の小腸はgaslessで,図22〜図24で腹水(※)と腸間膜の濃度上昇(▲)を認める.図27と図28で↑は全周性の回転ではないのでwhirl signとは呼べないと思うが,捻転部位を示している可能性がある.近辺を検索すると図26で拡張し始める1と丸数字1がありそこから追跡してみる.1は図13の108まで展開するが,その先はガスが多く不明である.図29でもう一つの閉塞部位aがあり追跡する(上下に直進する間は同文字)と図16のgとなるがその先は不明.図26の丸数字1は図17の丸数字7となる(上下に直進する間は同数字)が,図16と図17で丸数字7と連結するかどうかも明らかでない.図21のxyはxとyに分かれて上行する.結局closed loop形成を証明できないが,whirl sign様所見とその近辺で拡張し始める3つの小腸から絞扼性小腸閉塞と診断する.3つのloop(1〜108,a〜gと丸数字1〜7)に造影効果の差はなく,壊死はない.手術でbandにより絞扼され,さらに270度捻転した小腸を認めた.壊死所見はなく,band切離を行った.もっと確実に診断するには今回のResidentコース100のように,イレウスチューブからガストログラフイン(以下ガストロ)を投与しCT検査をすべきである.10例ほどの経験から,右側または骨盤腔内に虚脱した回腸を相当量認め空腸側での閉塞を疑えばガストロを注入後30分くらいで,回腸側での閉塞を疑えば1〜2時間後にCT撮影する.この例のように大量の小腸内液状物があればガストロを生食で半分程度に希釈し200ml,液状内容物が比較的少量であれば1/5程度に希釈し(ガストロは2%まで薄めてもCTではかなり白く表現される) 100ml を注入する.
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