腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)19 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ILR 91】

両側性閉鎖孔ヘルニア嵌頓(左側で腸閉塞).Bilateral obturator hernia(obstruction at left side)









図1〜図3で盲腸(Ce)は液状内容物を含まないので拡張した小腸は機械的閉塞の可能性が極めて高い.小腸閉塞を疑えば外ヘルニアの嵌頓を検索することが基本である.図12〜図16の↑は恥骨筋と外閉鎖筋間に嵌頓した左閉鎖孔ヘルニアと診断するが,図13〜図15の▲も同所見を示しており両側性閉鎖孔ヘルニアである.図13のcdはcとdとなり,図10のabもaとbに分かれて上行する.閉塞部位は図11の1で,そこから拡張し始め数字順に上行する.開腹した時点では嵌頓は自然解除されていた.30cmの間隔で小腸2ヶ所に嵌頓していた部位と思われる発赤を認めた.両側の閉鎖孔に卵管を縫着しヘルニア孔を閉鎖した.









参考症例(両側性閉鎖孔ヘルニア嵌頓):81歳女性,腹部手術の既往はない.急に発症した上腹部痛と右大腿部痛のため救急搬送されたが,経過観察中に上腹部痛は軽快した.体温:37.2℃,腹部は軟で圧痛もない.右大腿部痛精査のためMRI(図1〜図4)が撮影され,両側性閉鎖孔ヘルニア嵌頓(白矢印)と診断された.確認のためCT検査も行われ(図5〜図14),▲と△が両側性閉鎖孔ヘルニア嵌頓,図7と図8のbeak sign(↑)が閉塞部位で数字順に拡張していく.手術で右側での嵌頓による小腸閉塞を認めたが,左側は自然還納されていた.














  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ11 【症例 RR 52】
2. その他(Miscellaneous)シリーズ14 【症例 MR 67】

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