腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)18 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 88】

絞扼性小腸閉塞(1週間後でも壊死なし).Strangulated obstruction of small bowel with no necrosis








右側結腸は図1〜図4の白矢印グループの中にあると思われるが,虚脱しており,骨盤腔内の拡張した小腸はgaslessで,腸間膜の濃度上昇は明らかでないが図15〜図18で腹水(※)を認めるので絞扼性小腸閉塞を否定できない.追跡すると図14のAは図8のGで,1は図6の9で閉塞するのでclosed loopを形成している.図7と図6で図8のGと連結する虚脱した小腸(SB)があり,図9の丸数字1から単純性閉塞の小腸が拡張し始め(上下に直進する間は同数字),図1の丸数字7となり上行する.図11のabはaとbに分かれて上行する.Closed loopの壁は良好な造影効果を示し壊死はない.








単純性閉塞と診断されNGチューブが挿入されたが,4日経っても症状の改善が見られずイレウスチューブに入れ替えた.下段はイレウスチューブからガストログラフインを投与後のCTである.
図31〜図34で腹水(※)が増加しているが,water densityで血性ではなさそう.図21の1から数字順に展開し同図の24に戻り,4日前と同様なclosed loopを形成している.ガストロラフィンを含む図20の丸数字1から単純性閉塞が始まり丸数字順に展開する.注目すべき所見は絞扼されたclosed loopの腸管に薄くなったガストログラフインを認めることである.この症例は第8病日に手術されbandによる絞扼性小腸閉塞が確認されたが,腸管はviableでband切離だけが施行された.絞扼性小腸閉塞で絞扼部位での締め付け具合の強弱は症例ごとに違い,緩ければ単純性閉塞の内容物がclosed loopの腸管内に移行しうる,また1週間経っても壊死に陥らないこともあるということだが,極めてまれな例外的な症例である(下記症例を参照).イレウスチューブまたはNGチュ−ブからガストログラフインを注入してのCT検査は極めて有用であるので,特に診断困難な例ではぜひ施行して頂きたい.












  【参照症例】   1. 腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)6 【症例 ILE 29】
2. 腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)11  【症例 ILE 52】
3. 腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)11  【症例 ILE 53】

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