図17〜図20で盲腸(Ce)は液状内容物を含まないので拡張した小腸は機械的閉塞の可能性が極めて高い.前腹壁直下の小腸はgasless(ガスがないか,あっても断面積の半分以下)とはいえないから頻度的には単純性閉塞の可能性が高い.最下段の図24と図25で腹水(※)を,図7〜図10で腸間膜の濃度上昇(△)を認めるので絞扼性である可能性も否定できないので下段の図21から追跡してみる(上下に直進する間は同文字).Aは図13のEで閉塞し,図13と図12で閉塞部位と連結する肛門側の虚脱した小腸(SB)を認める.1は図1の5となり上行し,図13近辺に他の閉塞部位を認めないので単純性閉塞と診断できる.図18〜図20の,拡張した小腸とは無関係の腸間膜の濃度上昇(▲)は,筆者には解説不可能.背側にはgaslessの小腸があり,腸間膜の濃度上昇と腹水を認めるので絞扼性と診断され手術が施行された.大網が小腸間膜に癒着しbandを形成,小腸を締め付け単純性閉塞の原因となっていた.このサイトで300例以上の腸閉塞または麻痺性イレウス例を編集したが,拡張した腸管を追跡するトレーニングを積んで,いわゆる「イレウス」(腸閉塞+麻痺性イレウス)の診断能力を高めていただきたい.
|