図9〜図12で盲腸(Ce)は虚脱しているので拡張した小腸は機械的閉塞であろう.Gaslessで,最下段の図21〜図25で腹水(※)を,図13〜図24で広範囲の腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるので絞扼性の可能性があるが,壁の造影効果は良好で壊死はない.回腸末端(Ti)は図4で始まるが,尾側へ追跡すると図9のaから粘膜下浮腫による壁肥厚を示し,図25のq へと展開し,同図の1から拡張し始める.数字順に展開し図1の51となり上行する.図20のABはAとBに,図16のCDはCとDに,同図のEFも同様にEとFに分かれて上行する.つまり閉塞部位図25の1は近辺に他の閉塞部位を認めないので単純性閉塞であり,その原因は図9のa〜図25のqまでの粘膜下浮腫を呈する病変である.図21〜図25で腹水(※)があり,アニサキス症,Crohn病や結核の初期病変,回腸末端炎などの可能性を考慮する.翌日には腹痛が消失し,水様性下痢が出現したが,3日間で治癒した.抗アニサキスIgG・A抗体価が 1.87(基準値<1.50)と陽性を示し,CT所見と臨床経過からも小腸アニサキス症の可能性が極めて高い.
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