図1〜図3で右側結腸(白矢印)は液状内容物を含まないので,拡張した小腸は機械的閉塞であろう.Gaslessな部分が多いが腹水と腸間膜の濃度上昇を認めず,絞扼性の可能性は少ないと思われたが・・・.図5の▲は図4の小腸23と重なるので腸間膜の濃度上昇ではない.図12から追跡するとAは図4のPで閉塞(↑が閉塞部位)し,1は図1の27となって上行する.図6のXYはXとYに分かれて上行する.従って,残された図4の丸数字1〜5がclosed loopを形成した,絞扼された小腸である.単純CTで壁の濃度上昇を示していないので出血性壊死はない.CT検査後大腸ファイバー検査(異常なし)が行われ,その後一時的に腹部膨満は軽快したが,腹痛と嘔吐が再現したので手術となった.手術で盲腸周囲ヘルニア(手術記録に詳細な記載なし)を認め,15cm長の回腸が嵌頓していた(図Aの↑間が絞扼部位)が,壊死所見を認めなかった.図4と図5のCeが盲腸で,図1〜図5のTiが回腸末端と思われ,盲腸と回腸末端の前方でのヘルニアだから,上回盲窩ヘルニアであろう(下記症例の図を参照).絞扼された腸管が短いと腹水と腸間膜の濃度上昇を認めないことがある(参照症例2例目).
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