腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)17 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ILR 83】

小腸壊死(非閉塞性腸間膜虚血症).Necrosis of small bowel due to NOMI(Non-Occlusive Mesenteric Ischemia)












図1〜図4で肝臓の樹枝状のガス像は肝表面から2cm以内の辺縁まで到達しているので典型的な門脈内ガスである(胆管内ガスは胆汁の流れに逆らって上昇するので肝表面から2cm以内の末梢には到達しない).図6〜図8の白矢印は肝外門脈内ガスを示し,図10と図12ではSMVの分枝にもガス像(△)を認める.下段の図22〜図25の腹水(※)と,図17の1〜図21の11の液状内容物は,図11のaとbの液状内容物と比較してdensityが高く血性と思われる.図14〜図24の,ニボーを形成しない線状のガス,または背側のガス像(↑)は小腸壁内気腫である(S状結腸は図23のS1〜図17のS9).門脈内ガス,小腸壁内気腫,血性腹水と血性内容物は小腸壊死を意味する.図8〜図12で中枢側のSMA(▲)に閉塞所見を認めないが正常より細い感じを受ける.図7でIVCが虚脱しているので重度の脱水によるNOMI(Non-Occlusive Mesenteric Ischemia:非閉塞性腸間膜虚血症)であろう.最下段のSMA血管造影で診断が確定する.図AでSMA近位部(▲)から遠位部までspasmを起こし狭小化しており,図Bで特に回盲部の壁の造影効果が極めて弱い(↑).しかし手術ではTreitz靱帯から10cmの部位より盲腸から120cmの部位の小腸が壊死に陥っていた.切除し留置していたSMA内のカテから塩酸パパベリンを持続投与した.翌日のsecond look手術でさらなる壊死を認めたが,80cm長の回腸を残存できた.2週間後大量の鮮血性の下血があり死亡した.NOMIは予後不良の疾患である.















  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)16 【症例 GR 78,79】

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