図13〜図16の右側結腸(白矢印)は虚脱しており,拡張した小腸は機械的閉塞であろう.gaslessではあるが,腹水と腸間膜の濃度上昇を認めず,壁は良好な造影効果を示しているので絞扼性である可能性は極めて低い.最下段の図30から追跡してみると,Aは図24のGで閉塞し,図23と図22で連続する虚脱した小腸(SB)を認める.1は数字順に展開し,図9の98となり,同図の十二指腸(Du)と連続する.図25で虚脱した大量の回腸(▲:臍を中心にして右上から左下への斜線の右下に位置する傾向がある)があり,拡張した小腸の口側が十二指腸に連続するので空腸での単純性閉塞との診断がついた.図24の閉塞部位(G)周辺には腫瘍性病変,重積,異物や外部から圧迫する病変を認めず,閉塞の原因は不明である.単純性完全閉塞との診断がつき手術となった.Treitz靱帯から50cmの部位で閉塞(図A:↑),その口側の拡張を認めた.病理:粘膜面に引きつれ状のビランと瘢痕が見られ,限局性の虚血性腸炎による瘢痕狭窄と思われる.
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