腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)15 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 72】

絞扼性小腸閉塞(壊死なし→4日後壊死).Strangulated obstruction of small bowel with no necrosis→necrosis 4 days later








図9〜図11で盲腸(Ce)は通常便を含み,図1〜図10と図13〜図20の腹水(※),図9〜図13の腸間膜の濃度上昇(▲),その腸間膜の支配を受ける小腸はgaslessだから,絞扼性小腸閉塞の可能性がある.図18から追跡すると,Aは図7のLで,1は図6の13で閉塞し図5と図6の虚脱した小腸(SB)につながるからclosed loopを形成している.その他の拡張した小腸内糞便(食物残渣)を含む小腸が単純性閉塞の腸管で,起始部と口側への展開は指摘できないが,closed loopを証明できれば十分である.自信が持てなければNGチューブまたはイレウスチューブからガストログラフィンを注入してCT撮影すれば診断が容易になる(空腸での閉塞を疑えば50mlで30分後,回腸末端での閉塞で大量の液状内容物を認めたら100mlで2時間後).図10で外腸骨動脈(EIA)と外腸骨静脈(EIV)の造影効果に差がないのでかなり時間の経過した晩期相のCTだからviableかどうかの判断は困難だが,単純性閉塞とclosed loopの壁の造影効果に差はないようだから壊死はない可能性が高い.













単純性閉塞と診断され3日間高気圧酸素療法で治療されたが,症状と腹部所見が増悪することはなかった.下段の図22以下は4日後のCT.








図25〜図40の小腸(▲)は,図24と図26の↑を閉塞部位とするclosed loopを形成した絞扼された小腸である.図30〜図37の△は一見造影された小腸壁に見えるが,内側の壁(図30)に造影効果を全く認めないので,進行性の壊死に陥った小腸壁に密着し充血肥厚した腹膜である.図34〜図40で骨盤腔内の腹水(※)が増加し,△は造影効果を示しているので汚染された腹水による腹膜炎を意味し,壊死に陥った絞扼性小腸閉塞を裏付ける.図23の丸数字1から展開するのが単純性閉塞の小腸(直線的に展開する間は同記号)の小腸だが,小腸内糞便は消失しており,消化されたということか? 手術で20cm長の回腸(図A)が索状物により絞扼されclosed loopを形成し,壊死に陥っていた.












  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)10 【症例 GR 49】
2. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)10 【症例 GE 46】

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