腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)14 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ILR 69】

単純性(癒着性)小腸閉塞.Simple(adhesive) obstruction of small bowel






図7〜図9で右側結腸(白矢印)が虚脱しているので拡張した小腸は機械的閉塞であろう.Gaslessであるが腸間膜の濃度上昇と腹水を認めないので単純性の可能性が高い.図14から追跡してみるとAは図7のHと図6のIでbeak sign(↑)を示し図5のJで閉塞し,図7と図8で肛門側の虚脱した小腸(SB)を認める.1は単純に上行し,図11のabはaとbに分かれて上行,図5のcdもcとdになり上行する.つまり,図5近辺で閉塞するのはJだけだから,そこでの単純性閉塞と診断できた.NGチューブを挿入し保存的に経過観察された.










下段の図17〜図28は3日後NGチューブからガストログラフィン50mlを注入し,1時間30分後に撮影されたCTである.






3日前同様に図18の▲で完全閉塞を示している.ガストログラフィン注入による造影CTは腸閉塞が単純性か絞扼性かの鑑別に極めて有用であるのでぜひ活用してほしい.この例では(上腹部の画像は省略したが)拡張した小腸がすべて造影剤を含み,さらに閉塞部位もよりわかりやすくなった.絞扼性であれば単純性の小腸にだけガストログラフィンを認め,絞扼された小腸には認めないからclosed loopの証明が容易になる(下記症例).手術となり,癒着による単純性閉塞が確認された(図A:△).







  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ25 【症例 ER 121】
2. 腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)2 【症例 ILE 7】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】