図4〜図6の上行結腸(▲)が原因の大腸閉塞の疑いで入院したが,図15〜図19で回腸末端(Ti)が虚脱しその口側小腸の拡張を示しているのでその間の小腸閉塞である.最下段の図16〜図19の盲腸(Ce)は液状内容物を含まないので,拡張した小腸は機械的閉塞の可能性が高い.大部分がgaslessだが,腹水と腸間膜の濃度上昇を認めないので絞扼性小腸閉塞の可能性は低い.図3の1〜図16の14は小腸内糞便(食物残渣)を呈し,単純性閉塞の閉塞部位を示している場合が多い.図17の15からは液状内容物で拡張し,数字順に展開する.この演習問題を熱心に勉強している人なら,図3〜図6の高濃度内容物(↑)は食物のモチではないかと疑うであろう.2日後の再読影で同所見が発見され問診したら,前日の夕食にモチ,昆布と煮物を食べたことが判明した.図10〜図12でもう一個のモチ(△)を認める.モチ以外の小腸内糞便の大部分は昆布である可能性が高い(参照症例).図16〜図19の白矢印は両側性の卵巣嚢腫.モチによる食餌性小腸閉塞と診断し保存的に加療したら第4病日に腹痛が消失し順調に経過した.大腸ファイバー検査で上行結腸には数個の憩室を認めるのみであった.
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