造影剤を使用できない症例もあるので単純CTにも慣れておく必要がある.図1〜図3で盲腸(Ce)は虚脱しているので拡張した小腸は機械的閉塞であろう.図13〜図18で大量の腹水(※)を認め,そのdensityは単純閉塞と思われる図10〜図12の液状内容物(白矢印)と比較して高いので血性腹水である可能性が高い(densityを計測してくれれば30HU以上であろう).さらに図4〜図9で明らかな腸間膜の濃度上昇(▲)を認め,下段のgaslessな小腸は絞扼性小腸閉塞である可能性がある.図9で虚脱した小腸(SB)があり,図10の1,図11の2と拡張し始めるので追跡を続けると数字順に展開する.それらと下段の↑の拡張した小腸の内容物と壁は高濃度を呈し,出血性壊死を強く示唆する.図7の丸数字1から拡張し始めるのが単純性閉塞の小腸と思われ,壊死に陥った絞扼性小腸閉塞と診断する.正確にCT診断され緊急手術となった.多量の血性腹水があり,腹壁と卵巣間膜間に癒着と索状物形成(図A:△)を認め,それにより50cm長の回腸が絞扼され壊死(図B)に陥っていた.
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