図9〜図11の盲腸(Ce)は通常便を含む.拡張した小腸はgaslessとは言えないが,図18〜図20で腹水(※)を,図8〜図12で腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるので絞扼性小腸閉塞の可能性を否定できない.数字とアルファベットが記された小腸は図1〜図4の良好な造影効果を示している小腸群(a〜f:単純閉塞の小腸)と比較して明らかに造影効果が減弱しているので壊死に陥った小腸と診断していい.図8〜図10の△は肥厚充血した後腹膜筋膜であり,腸管壊死を裏付ける.念のため図19のAと1から追跡すると,図7のMと図12の83で閉塞する.図9の80はbeak sign(↑)を示しているので,そこが真の閉塞部位と解釈するとclosed loop形成が証明されることになる.4,5日前から1日3,4回の軟便があることから腸炎による麻痺性イレウスと診断されたが,3日経過しても症状の改善が見られないため手術となった.索状物により100cm長の回腸が索状物により絞扼され壊死に陥っていた(図A).
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