図9と図10で盲腸(白矢印)が虚脱し,液状内容物を含まないので拡張した小腸は機械的閉塞であろう.腸間膜の濃度上昇を認めず,拡張した小腸はgaslessとはいえないものが多いが,図26〜図29で腹水(※)があり,図19〜図24の小腸の壁(↑)は造影効果を示さず,壊死に陥っている可能性が高い.図15〜図23の壁(△)は一見造影効果にみえるが,実は肥厚充血した腸間膜であり,進行性の壊死を示唆する(参照症例).図24から追跡すると,Aは図8のQで,1は図10の47で閉塞するのでclosed loopを形成している.図9と図10で虚脱した小腸(SB)を認め,図11の丸数字1から口側の単純性閉塞が始まり丸数字順に展開する.Re:直腸,Sg:S状結腸.単純性小腸閉塞として保存的に加療されたが,5日後には呼吸状態の悪化,脱水,アシドーシスと炎症反応の増強を認めたので緊急手術となった.下腹部で索状物によるclosed loop形成を認め,100cm長の回腸が壊死に陥っていた(図A).
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