腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)11  EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 52】

絞扼性小腸閉塞(5日後も壊死なし).Strangulated obstruction of small bowel with no necrosis









上段の図7〜図9で盲腸(Ce)がニボーを形成しているので多少の液状内容物を含んでいるが,不完全閉塞か麻痺性イレウスか? 拡張した小腸はgaslessで,図1と図20〜図22で腹水(※)を認めるので絞扼性小腸閉塞の可能性も否定できない.図20から追跡してみると1は図2の19となり上行し,Aは図13のHで閉塞する.図18のabはaとbに分かれて上行する.拡張の程度は軽度だが,右下腹部に残った図14の丸数字1から図16の丸数字15は,図14あたりで閉塞するclosed loopを形成していると解釈でき,図13での単純性閉塞の閉塞部位Hもそのことを裏付ける.図16のS1〜図6のS13はS状結腸.図4〜図10の△は分節的に拡張した肛門側の小腸であろう.つまり,closed loopを形成する絞扼性小腸閉塞だが,閉塞部位での締め付けが緩いための不完全閉塞を意味する.5日後手術となり,盲腸から60cmの部位で10cm長の回腸が索状物により絞扼されclosed loopを形成していたが,viableで索状物切離のみが行われた.5日経過しても壊死を認めないことは,上記の「closed loopを形成する絞扼性小腸閉塞だが,閉塞部位での締め付けが緩いための不完全閉塞」が存在することを裏付ける.














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