Closed loopを形成する絞扼性小腸閉塞は数時間で壊死に陥る場合が多く即手術の適応であるが,2日経過したこの症例ではどうか? 肝周囲(図18:※)と骨盤腔内(図28〜図32:※)で腹水が増加し,図29〜図31で腸間膜の濃度上昇(2日前は不均一な境界不鮮明な濃度上昇だから浮腫)が腸間膜間の腹水(↑:均一で境界鮮明なwater density)に変化しているのは不吉な所見である.図34から追跡すると図27のHと図28の41で閉塞するので2日前と同様にclosed loopを形成している.図26の丸数字1から単純性閉塞が始まり丸数字順に展開する.造影効果を認めるので壊死はないが,closed loopの小腸の長さが2倍近く(閉塞部位が26→2日後41)に延長していることは,早期診断がいかに重要であるかを示している. 手術で左卵巣と骨盤漏斗靱帯が癒着しヘルニア門を形成し,そこへ80cm長の回腸が入り込み絞扼されclosed loopを形成していたがviableであった.2日経過しているにもかかわらず壊死はなく軽度の虚血状態を呈したまれな症例である.
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