下段の図13〜図16で盲腸(Ce)と回腸末端(Ti)が虚脱しているので,拡張した小腸は機械的閉塞の可能性が高い.壊死所見や腸間膜の濃度上昇を認めないが,図27〜図29で腹水(※)があり,拡張した小腸はgaslessだから絞扼性を否定できない.図25から追跡すると,1はS状結腸吻合部(ステイプラー:白矢印)近くの図17の47で閉塞し,図17と図18で連続する虚脱した小腸(SB)を認める.Aは図1のYとなり上行し,図10のabはaとbに分かれ上行する.すなわち,閉塞部位図17の47近辺で他の閉塞を認めないので単純性閉塞との診断が確定した.イレウスチューブまたはNGチューブを挿入して4,5日安心して経過観察が可能である.翌日腹痛が増強したので手術となり,S状結腸吻合部でbandによる回腸の単純性閉塞が確認され,band切離と癒着剥離が行われた.
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