腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)1 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 5】

胆石イレウス.Gallstone ileus








図9〜図12は省略.大腸の拡張はなく,小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.図1〜図3で肝内胆管内にガス像(pneumobilia:▲)を認め,図4〜図6の胆嚢もガスを含んでいるので,小腸内の結石を見つければ胆石イレウスの診断がつく.図20と図21の△が結石である.そこを移行部として図20の1は拡張した小腸へ数字順に展開し,図22と図23で虚脱した小腸(SB)を認める.結石が腸閉塞の原因であり,胆石イレウスの診断がついた.1週間後に手術を行った.Treitz靱帯から170cmの部位で胆石が嵌頓しており摘出した.胆嚢は十二指腸と大網に強く癒着していたので放置した. 図Aは術後施行した内視鏡検査で認めた十二指腸胆嚢瘻(↑).













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文献考察:胆石イレウス、本邦集計77例の検討
超高齢者の胆石イレウスの1例と本邦報告例の検討
  Author:小川達哉(獨協医科大学 第1外科), 藤田昌紀, 金子広美, 佐々木欣郎, 難波美津雄, 砂川正勝
  Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)20巻8号 Page1161-1165(2000.11)
  Abstract:93歳男.腹痛を主訴とした.腹部単純X線所見にて小腸拡大像を認め,腹部CT所見にて小腸拡張像および小腸内に径2cmの石灰化像を認めた.胆石イレウスの診断にて,緊急開腹術を施行した.術中所見では,腹水を少量認め,胆嚢底部付近に十二指腸下行脚と大網が癒着し,胆嚢十二指腸瘻が疑われた.Treitz靱帯の約20cm肛門側から約30cmに亘り小腸の拡張と腸管浮腫を認め,空腸内に胆石が嵌頓していた.結石を盲腸まで誘導し,盲腸切開による結石摘出を行った.術後合併症はなく,軽快退院した.1994〜1999年の本邦報告77例を集計し,過去の報告例と比較検討した.90歳以上の超高齢者の本邦報告例は自験例を含め5例に過ぎなかったが,特に特徴的な所見は認めなかった.
  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ11 【症例 RE 51】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ10 【症例 EE 48】

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