腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)9 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 42】

絞扼性小腸閉塞(壊死)・Meckel憩室.Strangulated obstruction of small bowel with necrosis・Meckel’s diverticulum









右側結腸は指摘できないが,虚脱しており,拡張した小腸は機械的閉塞であろう.大部分がgaslessで,図1,図7〜図9と図19〜図22で腹水(※)を,図9〜図12で腸間膜の濃度上昇(▲)を認める.図21から追跡を始めると,Aは図16のFで閉塞し,1は図15の15で閉塞し,約30cm程の小腸がclosed loopを形成している.図14と図15のSBが肛門側の虚脱した小腸である.図13の丸数字1から拡張し始め,図10の丸数字2でUターンし丸数字順に展開するのが単純性閉塞の小腸と思ったら,図12の丸数字10で閉塞を示すので,こちらの約70cm前後のloopもclosed loopを形成している( double closed loops )ように見える.単純性閉塞の口側先端(図12の丸数字10)が偶然閉塞部位近辺にある,または図14のXを介して図13の丸数字1と図15の15が連結する(正解)とも解釈できる.しかし,絞扼性小腸閉塞であることは確実である.図14〜図19のMは白矢印の小腸内糞便を含む腸管との関係は不明だが,上下で盲端になるのでMeckel 憩室を示している可能性が高い.図16と図17の高濃度の△はMeckel憩室内の腸石か? Sg:S状結腸.















上段の血管造影(図A)で壁の造影効果を示す空腸群(△)と,造影効果を認めない壊死に陥った回腸群(▲)を示している.下段のAngio CTでも壁の造影効果を認めない小腸群(↑)は壊死に陥った小腸を意味する.手術で血性腹水があり,盲腸から50cmの部位でMeckel憩室を認め,その先端と盲腸間に形成されたbandによる絞扼性小腸閉塞が確認され,約100cmの回腸が壊死に陥っていた(図B:白矢印がMeckel憩室).このように腸管壊死の診断にAngio CTが有用であることを示す症例であった(下記症例を参照).









  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)17 【症例 GE 84】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ7 【症例 ER 31】

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