腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)9 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 41】

小腸アニサキス症.small bowel anisakiasis












図9〜図12で右側結腸(白矢印)は通常便を含んでいるので,拡張した小腸は機械的閉塞であろう.図15〜図17で腹水(※)を認める.図3〜図5の“小腸内糞便”(↑)は単純性閉塞の閉塞部位を示唆することが多いので上下に追跡してみる.図2の1〜図1の42は主に液状内容物を含み上行するので口側の小腸である.図6〜図9の▲は粘膜下浮腫による壁肥厚(下段の5mmスライス画像でより明白に示されている:△)を示し,その肛門側は図10のaから図9のkまで拡張のない小腸となる.限局的な小腸の粘膜下浮腫による壁肥厚,口側の拡張と腹水は小腸アニサキス症を示唆する所見で,前日の夕食にタイ,ヒラメやマグロの刺身を食べたという.保存的に観察され,翌日には腹痛が消失し,5日目の胃カメラでは異常所見なし.抗アニサキスIgG A抗体:1.58(基準値:1.50以下).







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参考症例(小腸アニサキス症):37歳女性.既往歴:21歳時に虫垂切除.2日前に上腹部痛があり来院,胃腸炎の診断で内服薬を処方された.当日の朝に腹痛が増強したため再来院した.体温:37.2℃,下腹部に圧痛があるが反跳痛や筋性防御は認めない.








大量の腹水(図9〜図16:※)と粘膜下浮腫による壁肥厚を呈する小腸が目立つ.図2から追跡してみるとAは下行し図9のHあたりから粘膜下浮腫が軽度となり液状内容物による拡張へと変化してくるので口側の小腸であり,図4のQからはガスによる拡張となり上行する.1は図13の18となり虚脱した小腸へ連続するのであろう.図9〜図12で腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるので絞扼性小腸閉塞とCT診断され手術となった.回腸に発赤と壁肥厚による狭窄を認め切除したらアニサキスが発見された(図A:↑が写真撮影時の照明により変色したアニサキス虫体,△がアニサキスの付着部) .血球分画で好酸球7.5%.









  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ19 【症例 ER 95】

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