図9〜図12で右側結腸(白矢印)は通常便を含んでいるので,拡張した小腸は機械的閉塞であろう.図15〜図17で腹水(※)を認める.図3〜図5の“小腸内糞便”(↑)は単純性閉塞の閉塞部位を示唆することが多いので上下に追跡してみる.図2の1〜図1の42は主に液状内容物を含み上行するので口側の小腸である.図6〜図9の▲は粘膜下浮腫による壁肥厚(下段の5mmスライス画像でより明白に示されている:△)を示し,その肛門側は図10のaから図9のkまで拡張のない小腸となる.限局的な小腸の粘膜下浮腫による壁肥厚,口側の拡張と腹水は小腸アニサキス症を示唆する所見で,前日の夕食にタイ,ヒラメやマグロの刺身を食べたという.保存的に観察され,翌日には腹痛が消失し,5日目の胃カメラでは異常所見なし.抗アニサキスIgG A抗体:1.58(基準値:1.50以下).
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