図15と図16で盲腸(Ce)と回腸末端(Ti)が虚脱している(液状内容物を含まない)ので,拡張した小腸は麻痺性イレウスの可能性は低い.Gaslessで,図3〜図8で腸間膜の濃度上昇(▲)を,図23と図24で少量だが腹水(△)を認めるので絞扼性の可能性がある.図22と図23の小腸内糞便(食物残渣:↑)は単純性閉塞の閉塞部位を示すことが多いので図21から追跡する.Aは図18のDで閉塞し,図17〜図20で連続する虚脱した肛門側の小腸(SB)を認める.1は数字順に図1の54となり上行する.つまり,図18の閉塞部位(D)近辺に他の閉塞を認めないので,そこでの単純性閉塞である.明確な理由は記載されてないが手術となり,Treitz靱帯から170cmの部位で索状物による単純性閉塞(図A:白矢印)が確認された.図17の5と図18の4は癒着による狭窄であった.Gasless,腹水と腸間膜の濃度上昇の3所見を認めたら絞扼性の可能性が高いと述べたが,例外のない法則は存在しない.小腸が拡張すると腸間膜にねじれや圧迫が生じ,静脈の循環不全を起こし腹水と腸間膜の浮腫が出現するのではないかと筆者は推測する.
|