図17〜図20で上行結腸(Ac)と盲腸(Ce)が虚脱しており,拡張した小腸は機械的閉塞であろう.腹水と腸間膜の濃度上昇を認めないが,この症例では図17〜図19でbeak sign(↑,△)を示し,図18の1で閉塞する小腸と図19のAで閉塞する小腸が目に付く.図17のa〜図20のdは虚脱した小腸で,360度時計回りに回転しており(“腸管のwhirl sign”),軸捻転を強く疑う.Closed loop形成を証明できたら確定診断となる.図18の1から頭側へ追跡すると,図21の19で閉塞する.図18の閉塞部位1とは10mmスライスCTで間に2スライスあり,closed loopを形成しているかの判断が難しい.図19のAは頭側へ上行し,図8のBでUターンし,図25のDでさらにUターンして図20のEで閉塞するので,こちらの方はclosed loopを形成していることが証明された.また他の小腸と比べてA〜Eの壁の造影効果はやや低下しており,絞扼性であることを裏付ける.図18の1〜図21の19は単純性閉塞の口側小腸であろう.手術で同所見が確認されたが,腸管壊死はなく,捻転解除と癒着剥離が施行された.
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