腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)1 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 2】

絞扼性小腸閉塞(壊死なし).Strangulated obstruction with no necrosis








骨盤腔内の拡張した腸管はgaslessで,図3〜図6,図15と図16には腹水がある(※)ので,closed loopかどうか図16から追跡する.Aは図7のJで閉塞し,1は図5の12で閉塞する.図4のaが単純閉塞腸管の始まりで,図9のsとなり頭側へ上行する.図4〜図1で虚脱した小腸SBがありclosed loopが証明された.closed loopの腸管壁は,単純閉塞の腸管壁のenhanceよりはやや劣るが,まだviableである.










腸管壊死のCT所見は,1)造影CTにて壁が造影されないまたは造影が弱い,2)単純CTにて壁が高濃度(出血性壊死),3)遊離ガス,4)SMVまたは門脈内ガス,5)壁内気腫(intramural gas),6)壁肥厚,7)大量の腹水,8)隣接する腹膜,腸間膜や後腹膜筋膜の充血・肥厚である.1),2)と5)が特異性が高い.
絞扼性イレウスのCT所見は,1)腸管壊死の所見,2)閉鎖ループclosed loop(腸管のloopが隣接する2点で締め付けられている状態で,近くに虚脱した2つの小腸,または虚脱した1つの小腸と単純閉塞の小腸の始点がある).3)腹水,4)腸間膜の浮腫,5)腸間膜血管の走行異常と静脈の怒脹,6)壁肥厚,7)gasless(腸管内にガスがないかあっても少量)の7所見である.1)と2)が特異性が高いが,3)〜7)のうち3項目以上の所見があれば絞扼性イレウスの可能性はかなり高い.
  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 3 【症例 LE 11〜15】

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