腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)5 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 24】

絞扼性小腸閉塞(壊死).Strangulated obstruction of small bowel with necrosis












右側結腸の普通便は,軽度に拡張した小腸が機械的閉塞であることを強く示唆し,gaslessで,図1〜図4で相当量の腹水(※)と図9〜図22までの腸間膜の濃度上昇(▲)は絞扼性である可能性が高い.図16で閉塞部位(↑)と思われる虚脱した小腸があり,図15の1から拡張し始めるので追跡してみた.図6の80までは何とかたどり着くが,そこからの追跡は不可能である.図7〜図16の拡張のない小腸群(△)は腸間膜の明白な濃度上昇(▲)を伴っており,また図6の80と連続している可能性が高く,まだ拡張していない絞扼された小腸と解釈すべきである.壁の造影効果は図15のviableな小腸(白矢印)と比べ減弱しており,腹水の量を考慮すれば壊死の可能性を否定できない.正確に診断され緊急手術となった.大網が腸間膜に癒着しヘルニア門を形成,そこへ小腸が入り込み,Treitz靱帯から120cm,盲腸から80cmの部位で約80cmの小腸が絞扼され壊死に陥っていた.腸管は閉塞したり,麻痺性イレウスを起こすと吸収機能は停止するが,分泌機能は継続または増加するといわれ,液状内容物で拡張する(ガスはガス産生菌によるものといわれる).この症例は絞扼が強く液状内容物が貯まる前に壊死に陥ったと思われる.筆者のcollectionでは拡張のない絞扼性小腸閉塞は2%程度に見られる印象を受けているが,壊死に陥っていない症例が多い.
















参考症例(拡張のない絞扼性小腸閉塞):77歳女性.既往歴:50年前に胃潰瘍で胃切除(BII再建),10年前に輸入脚症候群の手術.3時間前の食後に急に腹痛が出現し,数回嘔吐した.体温:35.9℃,下腹部に圧痛を認めるが,反跳痛や筋性防御はなく軟.
図1で腹水(※)を,図6〜図11で腸間膜の濃度上昇(▲)を認める.小腸の拡張はないが,濃度上昇した腸間膜に支配される,やや造影効果が減弱した小腸群(△)は絞扼性小腸閉塞の可能性が高いと思うべきである.図6の1〜図2の5が単純閉塞の小腸.手術所見:大量の小腸が索状物により絞扼され,虚血所見を示していたが,索状物切離により改善し,切除は不要であった.













  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ7 【症例 EE 35】

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