図4で盲腸(Ce)が虚脱しているので拡張した小腸は機械的閉塞であろう.ガストログラフィンで造影されている小腸は単純閉塞の小腸であるが,図9のabはaとbになり,図8のcdはcとdに分かれて上行するので閉塞部位ではない.骨盤腔内のガストログラフィンを含まない小腸はgaslessで,図12〜図14で腹水(※)を,図15〜図17で腸間膜間に腹水(▲:単なる濃度上昇より重症度が高い)を認めるので絞扼性小腸閉塞の可能性が極めて高い.図16から追跡すると,Aは図10のGで,1は図11の22で閉塞する.経静脈的にenhanceされていないから虚脱した小腸は指摘できないが,閉塞部位近辺のガスで拡張した小腸のいずれかが単純閉塞の起始部であろう.ガストログラフィン注入後30分しか経過していないから造影剤が閉塞部にまだ到達していない.CT撮影のタイミングとしては2,3時間後が適当と思われる.図15〜図18で小腸壁は高濃度(↑:筋肉と同等または筋肉以上)を示し,拡張している割には肥厚を呈しているので出血性壊死と解釈する.手術所見:索状物により30cm長の回腸が絞扼され壊死に陥っていた.
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