拡張した小腸は大部分がgaslessで,右側結腸が普通便を含んでいる(液状内容物を認めない)ので機械的閉塞であろう.図10〜図12の均一な低濃度で,境界鮮明な△は液貯留(腸管膜間の腹水),図11〜図14の▲は不均一で境界不鮮明だから浮腫を示している.従って絞扼性小腸閉塞の可能性を示唆し,図18のAと1から追跡してみる.Aは図17のLで閉塞し,1は図7の42までは問題なく進行する.図8で43と44は拡張を示していないので連続するという判断は困難だが,癒着による狭窄と解釈し数字順に追跡を続けると,図17の63で閉塞したのでclosed loopを形成している.図17と図18の↑が虚脱した肛門側の小腸と思われ,口側の単純性閉塞は図18の丸数字1から始まり,図の数字順に展開する.図13のabはaとbになって上行する単純性閉塞の小腸である.単純性の腸管壁は生き生きと造影されているが,絞扼された部分はやや造影効果が減弱しており壊死の可能性が高い.正確に診断され手術となった.左付属器と後腹膜間にbandが形成され,そこで60cm長の小腸中央部が絞扼され壊死に陥っていた(図A).
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