腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)3 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 14】

絞扼性小腸閉塞(大網裂孔ヘルニア:壊死なし).Strangulated obstruction of small bowel with no necrosis(transomental hernia)








左側で拡張した小腸は大部分がgaslessで,図1と図17で腹水(※)を,図7〜図9で腸間膜血管の怒張と腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるので,絞扼性小腸閉塞の可能性がある.図1から追跡すると,Aは図10のJで,1は図8の40で閉塞するのでclosed loopを形成している.図8と図9で虚脱した小腸(SB)があり,図10の丸数字1から口側の単純閉塞の小腸が拡張し始め,図16へと展開する.絞扼された小腸の壁はやや造影効果が減弱しているが,壊死はない.









NGチューブが挿入され,4日経過した時のCTが下段の図1〜図20.








当然のことだが4日前に比較して小腸がより拡張している.果たして4日前と同様なclosed loopを形成したままか図1から追跡してみよう.Aは図8のVで,1は図9の23で閉塞し,図9と図10で連続する虚脱した小腸(SB)を認め,図12の丸数字1から単純閉塞の小腸が拡張し始め,丸数字順に展開するので,4日前と全く同様なclosed loop形成を認める.印の付いていない拡張した小腸はすべて口側の単純性閉塞の小腸である.この時点で絞扼性小腸閉塞と診断され手術となった.大網に2cm大の裂孔があり,そこに170cm長の回腸が入り込み,さらに180度時計方向に捻転し絞扼されていたが,絞扼部位での締め付けが緩く,血行障害のないviableな絞扼性小腸閉塞であった.












  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ20 【症例 EE 99】

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