図27〜図30で一部の小腸がガスと液状内容物で拡張している.上行結腸(Ac)と盲腸にも液状内容物を認めるので機械的閉塞の可能性は少ない.心房細動がある,図2〜図22で腎組織の半分以上が壊死に陥った梗塞(△)を,図2〜図4で脾梗塞(▲)を認め,図27〜図30で下行結腸(Dc)と一部の空腸(J:臍を中心に右上から左下への斜線を境に空腸は左側に位置する傾向がある)は壁の造影効果を認めるが,他の腸管には認めないので上腸間膜動脈(SMA)塞栓症を疑う.SMAを図7の起始部から追跡すると図16から造影効果が消失するので閉塞している.手術で大量の小腸壊死を認め(図A),盲腸より30cmの部位からTreitz靱帯より150cmの部位までを切除した.図Bは最も壊死の強い部分の粘膜面.血管造影なしで手術が施行されたが,参照症例の解説で述べたように血管造影を行い,術前,術中と術後に塩酸パパベリンをSMAに注入すれば,もっと長く小腸を残せた可能性が高い.
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