図7〜図9で上行結腸(Ac)と盲腸(Ce)が少量の水分を含むので麻痺性イレウスの可能性を否定できないが,不完全閉塞でも同所見を認めることがある.拡張した小腸はgaslessであるが,壁は良好に造影され壊死はない.図3〜図6で腸間膜間に,図11〜図16では骨盤腔に腹水(※)を認め,図4〜図6では腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるので絞扼性小腸閉塞の可能性もある.図15から拡張した小腸を追跡してみる.Aは図7のIと図8のHでbeak sign(↑)を呈し,図7のIで閉塞し,図8と図9で虚脱した肛門側の小腸(SB)を認める.1は図1の15となり上行する.図9のabはaとbになり,図4のcdはcとdとなり同様に上行する.すなわち,閉塞部位図7のI近辺で閉塞する他の小腸はないからclosed loopを形成しない,急なcaliber changeを認めるので単純性閉塞である.単純性閉塞なのに相当量の腹水を認めるのは2日も経過しているからであろう.Ti:回腸末端,Sg:S状結腸.翌日になって腹部エコー検査で腹水の増量を認めたので手術となった.大網由来の索状物(図A:△)による単純性閉塞(図B:白矢印が閉塞部位)であった.
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