図5〜図8で上行結腸(Ac),盲腸(Ce)と回腸末端(Ti)はほぼ虚脱し,拡張している腸管は小腸閉塞である.拡張した小腸はgaslessであるが,図1と,図17〜図21の骨盤腔に腹水を認めず,腸間膜の濃度上昇を認めないので,絞扼性である可能性は低い.図8〜図12の内容物(↑)は“小腸内糞便(small bowel feces)”と呼ばれる食物残渣であるが,単純性閉塞の閉塞部位を示していることが多い.図13の1から拡張し始め数字順に展開し,他方図10のAは虚脱し,アルファベット順に展開し回腸末端(Ti)に連続する.図13のabはaとbとなり上行し,図8のcdも同様に上行する.つまり,閉塞部位は1ヶ所で,小腸内糞便(↑)あたりで閉塞する他の小腸を認めないので単純性閉塞である.閉塞部位の図10のAと図11のBで腫瘍性病変,腸重積や周囲からの圧排像を認めない.癒着や狭窄などの器質的原因がなければ食餌性小腸閉塞との診断となる.図4〜図11の小腸△は,単なる蠕動運動による虚脱か有意な病変(慢性炎症による狭窄)かの判断は小腸造影などの検査が必要である.正確に診断され保存的に治療したら翌日には排ガス排便があり順調に経過した.コンニャクによる食餌性腸閉塞であろう.
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