腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)1 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 3】

子宮広間膜裂孔ヘルニア(壊死なし).Small bowel herniation through a defect of the broad ligament of the uterus with no necrosis






図4〜図6で上行結腸(Ac)と盲腸(Ce)が液状内容物ではなく普通便を含んでいるから,拡張した腸管は機械的小腸閉塞を意味する.Ti:回腸末端.Dc:下行結腸.拡張した小腸の壁は良好な造影効果を受け壊死はないが,gaslessで,図8〜図11で腸間膜の濃度上昇(▲)を示し,図12〜図14で腹水(※)を認めるので絞扼性の可能性がある.図14のAを追跡すると,図13のHで閉塞し,その肛門側は図10〜図12の虚脱した回腸末端(Ti)に連続する.図14の1は数字順に展開し,図4の13となり上行する.図9のabは別の小腸で,aとbになり上行する.つまり,追跡した小腸は図13のHで閉塞する単純性閉塞である.図10〜図15で丸数字の,軽度に拡張した小腸群があり,追跡すると図13の丸数字1〜図12の丸数字12でclosed loopを形成している.子宮左側でのclosed loopで,子宮を右側へ圧排偏移させているので子宮広間膜裂孔ヘルニアを疑う.イレウスチューブを挿入したが4日間で腹痛は改善せず手術となった.左側子宮広間膜に裂孔があり,そこに15cmの回腸が入り込み絞扼されていたが,壊死はなく,裂孔閉鎖のみを行った.







  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 20 【症例 LE 96】

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