図4〜図6は省略.図1〜図3で腹水(※)と遊離ガス(白矢印)を認め,消化管穿孔の可能性が極めて高い.膵体部(B)と尾部(T)には損傷はなさそうだが,図9〜図11で頭部が腫大(▲)し,不均一な低濃度を呈している.背側後腹膜にwater densityの液貯留(△)もあり,膵頭部十二指腸合併損傷を強く疑う.手術で膵頭部完全断裂と十二指腸穿孔を認め,膵頭十二指腸切除が行われた.今まで供覧した膵損傷症例は比較的断裂部が明瞭な例であったが,断裂部の血腫,断裂部周囲膵組織の浮腫,挫創に伴う血管のれん縮などで修復され,断裂の診断が困難な例も少なくない.3mmまたは2mmスライスの画像,晩期相のCTで断裂部がより明白になる.それでも膵損傷の診断が不確実ならERPが“gold standard”である.
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