図9〜図16は省略.肝周囲と被膜下に腹水を認めないので右葉の肝中心性破裂(Ib)である.図2と図3の△,図7と図8の▲は正常血管との連続性を確認できないのでextravasationまたは仮性動脈瘤の可能性が高いが,確定するにはdouble phase 造影CTが必要である.Extravasationであれば,図1〜図3,図7と図8の↑部分は僅かな肝組織で肝外への出血を防いでいる所見だから,肝外へまたは被膜下出血へ進行し大量出血を起こす可能性があると判断すべきである.LHV:左肝静脈,MHV:中肝静脈,RHV:右肝静脈,LPV:左門脈,PV:門脈,RAPV:右門脈前枝,RPPV:右門脈後枝.
下段の翌日のCTで肝周囲の液貯留は,図18と図19で凸レンズ状に肝右葉を圧排(白矢印)しているので被膜下血腫である.中心性破裂部の血腫量が増大し,被膜下に相当量の血腫を認めることは,上記△と▲の両者,またはどちらかはextravasationであることを意味する.図21〜図23の△もextravasationかどうかの診断にはdouble phase 造影CTが不可欠である.下記参照症例の参考症例では保存的治療で成功したが,損傷が被膜に近く,extravasationを認めればTAEの適応であろう.最下段の血管造影で異常所見を認めなかったが,Hbは12.1g/dlから6.8g/dlに低下し,3単位の輸血を要した.
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