左腎損傷例だが,診断は結構困難である.上段の図2〜図8の△は周囲に内部不整な血腫を伴うのでextravasationと判断すべきであろう.図9〜図10では血腫がGerota筋膜を超え対側へ波及している(▲).しかし,通常の腎損傷ではない.1)腎組織を認識できない.血流を失った腎臓でも通常は均一な低濃度の腎臓の形を認めるものである.2)下段の図9〜図20の※の部分は均一なwater densityの液貯留であり,血腫ではない.3)※の部分も血腫として出血量を計測してみる.体積計算で,図8で13×10cm=130,13スライス分として1690mlとなり,血圧低下と頻脈を呈すべき出血量である.血圧:129/80mmHg,脈拍:83/分は正常範囲で,図5のIVCは狭小しており中等度のhypovolemiaを示しているが,1600ml以上の出血量なら平坦になるはずである.4)図13〜図15で左尿管の部位に結石(↑)を認める.従って,尿管結石,水腎症内出血および破裂と診断すべきである.
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