外傷(Trauma)シリーズ15 EXPERT COURSE 解答 【症例 TE 74】

膵部分断裂(II)・肝損傷(II)・右腎損傷(IV).Pancreatic injury grade II・liver grade II・right kidney grade IV








図5〜図8で肝損傷(△)を認めるが,extravasationはなく肝門部とMorison窩に少量の腹水を認めるだけである.図9〜図13では膵周囲や前腎傍腔に相当量の液貯留(※)を認めるので膵損傷に注意する.図12〜図14で低濃度域(↑)を示し,図9〜図11,図15と図16では同部位で連続性(白矢印)を認めるので部分断裂と解釈する.右腎の造影効果が減弱しているが,図12〜図15で腎動脈は造影されており,その原因は今のところ不明である.T:膵尾部,B:膵体部,H:膵頭部.図AのERPで主膵管の断裂はないが,限局性の少量の造影剤の漏出(▲)を認める.









下段の12日後のCTで右腎の大部分が造影効果がさらに減弱していることは,腎動脈になんらかの損傷(内膜損傷による狭窄など)があった可能性が高い.膵体部の部分断裂(↑)が明白になったが仮性嚢胞形成などの合併症は認めない.





さらに2ヶ月後(下段)には膵損傷部は修復され,右腎機能(造影効果)も改善を示した.




  【参照症例】   1. 外傷(Trauma)シリーズ4 【症例 TE 17】

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