その他(Miscellaneous)シリーズ20 EXPERT COURSE 解答 【症例 ME 97】

上行結腸憩室出血.Bleeding diverticulum of ascending colon




図1〜図12,図25と図26は省略.図15の↑は憩室で,図16の▲は大動脈よりかなり高濃度だからextravasationではなく糞石である.Extravasationを認めないが,上行結腸(A)と盲腸(C)は少量の普通便と大部分は血腫,またはニボーを形成する血液と思われる液状内容物を含み,右側結腸か小腸が出血源である.回腸末端は図17の1から始まり数字順に展開するが,ニボーを形成する液状内容物を含む部分があり,Bauhin弁から逆流した血液(すなわち右側結腸の出血),または回腸末端が出血源であることを示唆する.大腸ファイバー検査でBauhin弁横に凝血塊の付着した孤立性の憩室を認めたがすでに止血しており,クリップで縫縮した.しかし5日後に再出血を起こし,大腸ファイバー検査で同憩室からの再出血を認め(図A:クリップを除去した後,↑),再縫縮を行い止血に成功した.Hbは7.8g/dlまで低下したが輸血は行わなかった.孤立性の憩室は先天性の(筋層を有する)真性憩室の可能性が高い.









参考症例(痔の出血?):62歳男性.4日前から鮮血の混じた排便が毎日続いている.Vital signsは安定.肛門鏡で直腸内に鮮血性の凝血塊を認めた.Hb:入院時11.7g/dl→5日後8.2g/dl.








回腸末端(TI)は図6から始まりCが盲腸である.図17の1の直腸から逆行性に追跡すると数字順に展開する.Extravasationを認めない.図1〜図4で憩室(A:上行結腸,↑)があり,注腸造影と大腸ファイバー検査でも上行結腸に多発性の憩室を認め同部位憩室の出血と診断された.しかし,Hbが8.2g/dlまで低下する程の大量下血例で,CTで全結腸に普通便を認めることは,直腸から口側の出血の可能性は極めて低いことを意味し肛門病変の出血であろう.肛門鏡で十分な観察がなされなかったものと推測する.入院後は下血の再発はなかった.









  【参照症例】   1. その他(Miscellaneous)シリーズ17 【症例 ME 83】

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