肝硬変による門脈圧亢進症があり,図1の肝前面の太い血管は発達した側副路であり,脾臓も腫大している.従って図1の肝周囲と,図2と図3,図9〜図11に腹水がある(※)のは小腸拡張とは関係ない可能性がある.骨盤腔内の拡張した小腸はgaslessで,図5〜図8で腸間膜の浮腫があり(△),図5と図6で3層構造の壁肥厚を示し(↑),腹水以外に3所見あるので絞扼性小腸閉塞を疑う.図10のAと1から追跡するとAは図3のHで,1は同部位の15で閉塞する.図3のbeak sign(▲)を呈した小腸aが単純閉塞の小腸と思われ,虚脱した小腸SBがあり,closed loopと診断できた.図4と図5の右側の拡張した単純閉塞の小腸と比較して,壁の造影効果はやや弱いが壊死はないと判断する.CTでclosed loopと診断し手術を施行した.盲腸から60cmの部位で,約100cmの回腸がbandにより絞扼性小腸閉塞を起こし軽度の虚血状態を認めたが,band切離のみで腸管は温存できた.
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