その他(Miscellaneous)シリーズ20 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 100】

食道,胃,十二指腸と小腸の広範な壁内気腫・門脈内ガス(非閉塞性腸間膜虚血症?).Portal vein gas・extensive intramural gas of esophagus,stomach,duodenum and small bowel(NOMI?)








肝臓内ガス(△)は胆管内か? 肝門部から広範囲に広がっているので一見胆管内ガスにみえるが,図12で上腸間膜静脈内(△)に.図18と図19でその分枝にもガス(△)を認めるので門脈内ガスである.図1と図2では食道(↑)に,図5〜図11では胃(白矢印)に,図11〜図14では十二指腸(Du:▲)に,さらに図14〜図20では小腸(↑)に壁内気腫を認め,図16のviableと思われる上行結腸(A)と下行結腸(D)の壁と比べるとわかるように造影効果を全く認めない.図11でIVCがやや虚脱しているが,ある程度の膨らみを示しており血圧が低下するほどの脱水とは思われないが,壁内気腫を示す腸管は脱水によるNOMIの可能性は否定できない.ショック状態で搬送されたのは敗血症によるもので,食道から小腸までの高度の虚血または壊死が原因であろう.手術は行わない方針となり,同日に死亡した.












参考症例(Plain CT,十二指腸潰瘍穿孔・食道,胃,十二指腸と小腸の壁内気腫):統合失調症で他院に入院中の72歳男性.腹痛は訴えないが食欲がないため朝食を食べず,13時に倒れているところを発見された.意識は清明,血圧:110/60mmHg,脈拍:120/分,体温:37.9℃,腹部は膨満し腹膜刺激症状を認めた.








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図2〜図5で遊離ガス(G)と腹水(※)を認め,消化管穿孔の可能性が極めて高い.図3〜図5の肝臓内ガス(△)は,胆道ほど太くなく,図16〜図18の△をSMV分枝内のガスと解釈すれば門脈内ガスである.図1と図2で食道(↑)に,図3〜図6で胃(白矢印)に,図7〜図13で十二指腸(Du:▲)に,図12〜図16で小腸(↑)に壁内気腫を認める.図8でIVCが虚脱しており,重度の脱水によるNOMIであろう.手術で十二指腸球部前壁潰瘍の穿孔を認め単純閉鎖した.肝臓と胃に触診で気腫による握雪感があり,十二指腸と空腸は著明に拡張し虚血所見を認めたが壊死はなかった.










  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)2 【症例 GE 7】
2. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)11 【症例 GE 55】
3. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)16 【症例 GE 79】

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