肝内の細かいガス(△)は門脈内ガスである.胆道内ガス(pneumobilia)は胆汁の流れに逆らって上昇してきたガスだから肝門部に集中し,そこから末梢には到達しにくい.門脈内ガスは門脈の流れに乗って肝表面から2cm以内の末梢まで広がり肝門部には残らない.門脈内ガスの大部分(60%前後)は腸管壊死によるものだから,次に門脈領域腸管の壁内気腫や壁の造影効果不良所見を検索することが大事である.図4〜図18のニボーを形成しない線状のガス(↑)は壁内気腫であり,その壁は図17〜図19のviableな腸管(▲)の壁と比較して壁の造影効果を認めないので壊死に陥った腸管の可能性が高く,小腸の大量壊死を強く疑う.図4でIVCが虚脱しており,強い脱水によるNOMI( non-occlusive mesenteric ischemia :非閉塞性腸間膜虚血症)か,少なくとも強い脱水が壊死を助長したことが考えられる.手術を拒否され,2日後に死亡した.
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