その他(Miscellaneous)シリーズ20 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 96】

気腫性腎盂腎炎.Emphysematous pyelonephritis




薄い造影剤を含む腸管は横行結腸と下行結腸である.図1〜図12で左腎内外にガスが存在し(△),一部腎組織は破壊され,典型的な気腫性腎盂腎炎である.








3本のドレーンを挿入(図17〜図20),洗浄を繰り返し,抗生物質投与で保存的に治癒した.図21〜図24は3週間後の単純CTで,ドレーンがまだ1本(↑)留置されているが,大部分の腎組織が残っているようだ.腎臓摘出術を回避するため経皮的ドレナージを行う際の注意点として,後腹膜腔には壊死に陥った固形の腎組織や,脂肪組織が少なからず存在するのでドレナージチューブが詰まりやすく,効果的なドレナージが困難なことがある.この症例のように,複数の,太いチューブを用いることが重要である.








参考症例 1(Plain CT,気腫性腎盂腎炎・気腫性膀胱炎):72歳女性.糖尿病を経口薬で加療中.4日前から感冒症状が出現し,近医の往診を受けた.体温:38.5℃,白血球数が3万以上あり紹介来院した.血糖:694mg/dl.








左腎内にガス(△)を認め,図6で腎盂内(白矢印)に,図7と図8で膀胱内ガス(↑)と壁内気腫(▲)を示し,気腫性膀胱炎を合併した気腫性腎盂腎炎である.腎内ガスの量は少なく腎破壊は軽度で,軽症型である.抗生物質投与だけで治癒した.下段の10日後(既に解熱)のCTでガスは消失したが,壊死組織(△)を認める.





参考症例 2(気腫性腎盂腎炎):糖尿病を経口薬で加療中の61歳女性.5日前からの発熱,食欲低下と全身倦怠感のため来院にした.体温:38.6℃,血糖:397mg/dl.
左腎内にガス(△)を認め,上記症例同様小範囲の腎破壊を示す軽症型の気腫性腎盂腎炎である.2週間の抗生物質投与で解熱した.3週間後のCTで↑は壊死組織を示しているものと思われる.








  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ11 【症例 RR 51】

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