その他(Miscellaneous)シリーズ19 EXPERT COURSE 解答 【症例 ME 95】

胃潰瘍による幽門狭窄.Pyloric stenosis with gastric ulcer






図Aで胃が著明に拡張している.図2〜図7で胃角部から前庭部後壁にわたり粘膜下浮腫による壁肥厚(▲)を示し,図3と図4で胃角部の潰瘍底(↑)が,図5〜図7で前庭部後壁の壁欠損像(↑)が認められ,急性胃潰瘍である.図Bの造影で潰瘍は描出されていないが,胃角部が著明な短縮(△)を示している.CTでは食道胃接合部直下の潰瘍底(図3と図4:↑)と,図4〜図6では十二指腸球部(Du)近くの潰瘍(↑)は胃角部の短縮を示唆する.従って,胃潰瘍による幽門狭窄との診断となる.内視鏡検査で同所見が確認され,保存的治療で症状が改善しないので手術となった.図Cの↑が胃角部から後壁へ広がる胃潰瘍.病理:benign gastric ulcer.





参考症例(胃癌):67歳男性.2ヶ月前から食後の嘔吐が時々あり,次第に頻回になってきた.近医にて胃カメラ検査を行い,前庭部に癌を思わせる所見が発見されたが生検で悪性を否定され1ヶ月間IVHが施行された.全く食餌摂取ができないため紹介来院した.
ガストログラフィンを飲ませた経静脈的造影CTだが,図9,図11と図13は左側と同部位の単純CT.








胃内での食物の流れは図2の1から下行し,図9の8でUターンして前庭部へ上行する.図3〜図5の前庭部でやや強く,やや不整に造影される壁肥厚を呈する病変(↑)を認め,胃癌であろう.Du:十二指腸,T:横行結腸.図5の白矢印はリンパ節転移の可能性が高く,図8〜図13の▲と△は副腎転移巣である.胃カメラによる生検で胃癌と診断され手術となり,同所見が確認された.図Aの↑が癌病変.








  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ21 【症例 EE 101】

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