図8から十二指腸(Du)が拡張しているので,図15の1(空腸起始部)から追跡すると数字順に展開し図18の48となるが,その先は追跡不可能である.1〜48以外の拡張した小腸(48から連続すると思われ,おそらく空腸)は主にガスで拡張し,腹水と腸間膜の濃度上昇を認めないから絞扼性小腸閉塞は否定できる.単純性閉塞,または麻痺性イレウスと判断しイレウスチューブを挿入,翌日ガストログラフィン注入後のCT撮影を行った.図30〜図34で盲腸(↑)に造影剤を認めたので腸閉塞は除外された.便培養で糞線虫が検出され,駆虫剤(イベルメクチン)を投与し,元気になり退院した.沖縄,奄美地方,南九州や四国出身者で麻痺性イレウスを疑ったら,糞線虫症も鑑別診断の一つとして考慮すべきである.
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