その他(Miscellaneous)シリーズ19 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 91】

腹部大動脈瘤切迫破裂.Impending rupture of AAA(Abdominal Aortic Aneurysm)








「瘤」の定義は「外径が正常血管の1.5倍以上」だから,図4の大動脈(△)は,外径が図3の大動脈の2倍あり,腹部大動脈瘤である.図6で造影されている部分が血液が流れている真腔で,その周囲の均一な低濃度の部分(▲)は瘤内の古い血腫である.動脈瘤の破裂は周囲に血腫,腹腔内に血性腹水の存在が最も重要な所見であるが,この症例ではその所見を認めない.図7〜図17のやや高濃度の三日月状の↑はcrescent signを示しており,古い血腫内の新鮮な血腫を意味する.他に急性腰痛または腹痛の原因が特定できないときは瘤の切迫破裂と解釈すべきである.緊急手術となり人工血管(Yグラフト)置換術が施行され,術後は順調に経過した.



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参考症例(腹部大動脈瘤切迫破裂):85歳女性.数年前から腹部大動脈瘤を指摘されていたが,高齢のため手術は行われていない.12時間前に次第に増強する腰痛が出現し近医受診,原因不明のため搬送された.血圧:162/86mmHg,脈拍:72/分.
↑は古い血腫内のcrescent signを示しており,切迫破裂と診断する.人工血管(Yグラフト)置換術が施行され,合併症なく経過した.








  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 9 【症例 LR 42】

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